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2年ほど前にSennheiser IE8を、Unique MelodyさんでBAを2つ追加して、3ドライバのハイブリッド・カスタムIEMのアップグレードしてもらったのですが(以降、IE8☓3)、色々と悩んで、今回リモールドしてもらいました。一度アップグレードしたものを、またリモールドするなんて、なにか無駄なことをしている気もしたのですが・・・
 
聞くところによると最近のUMさんのシェルの出来は良いらしいのですが、
でも、私がお願いしたところのUMさんのシェルの出来は、あまり良いものではありませんでした。他のIEMメーカー(1964 Earsさんなど)と比べると、シェルのアクリル樹脂の質感は、品質の高いものではなく、透明度に関しても、レベルの高いものとは言えず、最初からいくらか白く濁っていました。そして、年月が経つにつれて、気のせいか一段と白濁が進んできました。
 
そんなこんなで、今回のリモールドになったわけです。といってもリモールド自体を考え出したのは、UMさんにお願いした直後で、それが実際に注文出来るまでには大きな問題があり、足掛け2年のリモールドになってしまいました。
 
その問題とは、どこにリモールドをお願いするかです。アップグレードをお願いしたUMさんは、シェルの出来の問題があり、最初から候補外。他にめぼしい海外のカスタムIEMメーカーに問い合わせたのですが、ハイブリッド・カスタムIEMのリモールドはしてないと引き受けてもらえず、いつもお世話になっている中国の千音さんにも問い合わせたのですが、良い返事はもらえず・・・国内のメーカーにも問い合わせたのですが、やはり良い返事はもらえずじまい。そこで、困ったはてに、ダメ元で千音さんに、もう一度問い合わせてみたところ、予想に反して、引き受けても構わないとの嬉しい回答。この機を逃したら、二度と機会は巡ってこないだろうと思い、千音さんの気が変わる前に、急ぎリモールドを頼んだのが、この2013年の12月。待つことほぼ1ヶ月で、IE8☓3が手元に帰ってきたのが、つい先日。
 
といった具合に、その2年越しのリモールの結果をと言えば、まず一言、大成功。本当に大成功です。ここ1年以上、UMさんのIE8☓3の出番は全くなかったのですが、今回のリモールドのおかげで、出番がグッと増えること決定です。
 
シェルの出来は予想通りとても高いレベルなのですが、それよりも何よりも、音質の劇的向上。これは、全く予想外でした。当方、イヤホンの技術面まったく無知なので、詳しいことは全然分かりませんが、とにかく、リモールドの前と後で、音質的に全く別のハイブリッド・カスタムIEMになりました。
 
リモールド後一聴した時は、左右のバランスがあまり良くなく、『あっ、やってしまった。リモールド失敗!!』と思ったのですが、1時間ほど曲をかけ続けると、『これはこれで面白いかも』に印象が変わり、一晩たってもう一度聴いてみると『とても面白い』に。


 







 
 
音質の変化は次のとおりです。UMさんIE8☓3と比べると、今回の千音さんでリモールドしたIE8☓3は、
 
1)中高域: UMさんのアップグレードのままだと、
       ベールがかかったような、
       モヤモヤした感じの不鮮明な中高域が、
       手元のカスタムIEMの中でも
       最上位に来るくらいスッキリした、
       透明感のあるものに大変身。
 
2)低域: 分解能力が高いかは別として、
      UMさんの時点でも量感のある低域が、
      同様かそれ以上に量感のあるものに。
 
3)音場: これは、左右にとても広いものに。
      手元のカスタムIEMでは、
      おそらく一番くらいに広い印象。
 
 
とくに1)の中高域と、3)の音場が左右に一気に広がったためか、音楽を聴いていて、とても開放感のある、楽しいものになりました。オリジナルのIE8の記憶が薄れているので断定は出来ないのですが、おそらくオリジナルIE8と同等か、それ以上に伸びのある音で、とても楽しく曲を聴かせてくれます。Halie LorenのBlue skiesを聴いた時のピアノの響きや、ボーカルの質感など、本当にうっとりするくらい良い感じです。音量を上げて聴いても、不快な響きもありません。褒め過ぎかもしれませんが、カナル型にも関わらず、良質な開放型のオーバーヘッド型のヘッドホンで音楽を聴いているような気持ちにさせてくるハイブリッド・カスタムIEMになりました。
 
もとものとUMさんのIE8☓3が、音質的にあまり良くなかったのもあり、今回のリモールド後は、外出用に使えれば良いくらいにしか考えていなかったのですが、この出来の高さからすると、室内でじっくりと音楽を楽しむのに使うべきかとも考えています。
 
いったい、千音さんは、何をどうして、リモールドだけで音質をここまで改善できるのか本当に不思議です。千音さんの普段の注文リストには入っていないのですが、Sennheiser IE8/IE80のアップグレードを是非、常時注文可能にしていただきたいくらいです。
 
音質の話は、このあたりにして、今回のリモールドの、そもそもの目的、つまりシェルの美的改善について手短に。これは、予定通りの良い出来です。UMさんのシェルと比べると、千音さんのシェルは、格段に出来が優れています。
 
1)アクリル樹脂の質感

2)シェルの透明度

3)シェルの出来の堅牢さ

4)シェルのフィッティング感

 
どれをとっても、千音さんの方が上です。
 
比較の意味でUMさんのIE8☓3と、千音さんでリモールドしたIE8☓3の写真を載せておきます。フェースプレートが薄いグレーの方が、UMさんのになります。当方の撮影技術が未熟なため、上手く2つの差がハッキリすると良いのですが。

 







 
 
UMさんと、日本ではマイナーな存在の千音さんを比較してみると、少なくとも私見では、千音さんの方が、シェル作りの腕もずいぶんと上な印象です。
 
以上、UMさんのIE8☓3を、千音さんでリモールドした感想でした。

 

It has been a while, to be exact almost a year, since I got a TS853 from 千音, Thousand Sound(s), in China. For the folks who have not heard of it, the TS853 is a 5 driver hybrid IEM. Its brief review is available here on my blog if you would care to take a look. 

Speaking of 千音, I have some updates. For a year or so, the TS853 had been his “flagship” model. BUT not any more. The flagship has just been taken over by 千音’s newest model: TS632, a 6 driver model. The TS862 is not a hybrid model. You could say that hybrid is his “cup of tea” like his other models, TS853 and TS842. This time, he has rather chosen an orthodox path for his 6 driver model. The Ts862 is a “pure” 6 BA driver IEM, just like many other 6 driver custom IEMs from other custom IEM makers. As a matter of fact, when he first told me that he was going to release a brand-new 6 BA driver model, I was excited, and yet a bit anxious about how it would turn out. For users like me who love a hybrid IEM, a simple question may come to their mind.

Would the new model be as good a choice as its brother hybrid model TS853?

But when I actually got my own TS862, all my anxiety was gone. It would be absurd to expect the two to be the same, especially on bass quality. Of course, the TS862 does not produce as deep bass as does the TS853. But the new 6 driver model has produced just as excellent sound as its brother TS853, never letting me down in the least.


 


 

Before going any further, I would like to clarify my choice of words when referring to 千音. You might be wondering why I have put the words he or his instead of they or their in the above. Truth be told, 千音 is a one man operation maker unlike many other well-known custom IEM makers around the world. Mr. 千音 takes his own time and makes each every custom IEM all by himself. It may sound somewhat hard to believe, because just one man has been taking care of all these 7 or 8 original custom IEM models as well as re-shelling. Things might be a bit different in the future, but that is what he told me when I asked him some months ago.


 

That being said, I will just get back to 千音's newest model.
 

Specifications:

Starting with the specifications, as the model number shows, the TS862 has a design of 6 balanced armature drivers, 3 ways (for each of which 2 drives are assigned) , 2 sound tubes (one for bass, and the other for both midrange and treble).
 

  Impedance : 29 Ohm

  Sensitivity :118 db (1mw)

  Crossover: 3 way
 

My apologies for those who want to know more about the technical specifications. That is all I have for the moment.
 


 

Build Quality:

As to the built quality of the shells. I really am as much satisfied this time as I have with some other IEMs that I have got over the past few years. I have only placed an order to 4 or 5 custom makers so far, which include 1964 ears. Their shell build quality is said to be one of the best ever. Even in comparison with 1964 ears, 千音's shell built quality is just as good as them, if not better. There is no any defect like bubbles or scratches. When I raise the shell of my TS862 against the light, it feels like some kind of glass. He seems to have perfected the shell producing technique in his own way. The same thing goes with the fit of the shell. The fit of the shell is simply perfect. I could put them on my ears literally for hours without any problem.

 



 

Price:

There are a couple of choices for you. If you want a brand new TS632, built from scratch, the price will be 950 US dollars. The other choice is to have your Westone 3 or UM3 at hand upgraded to a TS632. This way, you can save a couple of hundred dollars. The price will be 557 US dollars. Please note that prices here do not include any cable or shipping.


 

Sound:

And finally I will move on to the sound impression, which I am afraid is going to be the toughest part of all for me. Before I took a shot, I expected that its bass would not be as good as the TS853, a hybrid model. On the contrary to my expectation, it has turned out that the TS862 produces good bass, maybe not as good as a hybrid or dynamic driver model, but pretty good. That is for sure. Its treble and midrange are clean and detailed. It seems to me that the bass, midrange, and treble are quite in harmony with each other.


 

Putting all those details aside, I would say its overall sound quality is definitely fabulous. I would like to listen to the TS632 when I am tired after a long hard day. I am not saying that the sound is boring or anything. It is just that the TS632 produces calming sound to my ears. When compared with the TS853, I believe that the TS632 has more smooth and calming sound, on one hand, and the TS853 has more exciting sound, on the other. If I have to pick one out of the two, I really do not know which to choose. Both of them are simply excellent in their own way.


 

Before closing, I would like to thank 千音 for letting me have a TS632, his latest 6 driver model.

 千音(Thousand Sound)さんの、ハイブリッド・タイプの新しいモデル(TS853)が、ようやく発売開始になったようです。


当方の手元にあるのは、プロトタイプですので、今回の正式なモデルと、どのように異なるのかは定かではないのですが、先日、千音さんに問い合わせた範囲では、基本的には正式モデルとプロトタイプは同じようです。

だとすると、今回のハイブリッドIEMのTS853は

  3ウェイ
  5ドライバー(High:BAドライバー1つ
         Mid: BAドライバー1つ
         LowにBAドライバー2つと、ダイナミック型のドライバーを1つ)

こんな具合になるようです。(注:再度、詳しい点は千音さんに確認の必要あり)

価格は、送料とケーブルが別途になり、本体のみの価格が、870米ドルとのこと。

今の為替レートですと、おおよそ8万円で、これに送料、ケーブル代が別途かかることを考えると、UMさんやRoothさんの対抗機種と考えると少々割高感があるかもしれません。

取り急ぎ今分かる範囲の情報を載せてみました。


ほぼ1ヶ月ぶりのブログを更新します。その内容は、先日入手した1964 EarsさんのV6と、現在手元にあるめぼしいカスタムIEMの比較になります。比較機種は、次の通りです。 

  1)1964 Ears – V6
    3ウェイ・BA 6ドライバー 
  2)千音 – リモールド済みEtymotic ER4
     BA シングルドライバー 
  3)千音 – アップグレード済みWestone UM3 
    3ウェイ・BA 4ドライバー 
  4)千音 – アップグレード済みWestone 3
     3ウェイ・BA 5ドライバー 
  5)千音 – TS842
    ハイブリッド 2ウェイ・2ドライバー 
  6)UM – アップグレード済みSennheiser IE8: 
     ハイブリッド 3ウェイ・3ドライバー 
  7)千音 – TS853 試作品: 
    ハイブリッド 3ウェイ・5ドライバー 

尚、比較に聴いた曲は、時間の都合で、Halie LorenのAutumn Leavesを中心に行いました。

1)1964 Ears – V6: 





こちらの機種は、つい先日(2012/10)に出たばかりのBA 6ドライバー3ウェイになります。発売が始まったばかりで、販売促進ようの価格設定もあるのですが、この種としては、とてもお買い得感のある機種になります。

シェルの作りに関しては、まったく何の不満はありません。シェルの透明度もフィッティングも、とても高い次元にあると思います。シェルの綺麗さだけでも十分楽しめます。 

ハイブリッドIEMに比べると、低域のボリュームは劣るかもしれませんが、BA型なのに、かなりの量、低音が出ています。その反面、低音がボンヤリすることなく、引き締まった心地良い低域を再生してくれます。これも低音の解像度が高いお陰でしょうか。 

中高域も、低域に負けず劣らず高い次元で再生してくれます。とにかく、中高域の解像度は抜群で、特にボーカルの質感は、一聴の価値が大いにあります。 個人的な印象では、この機種が手元にあるカスタムIEMで、リモールドしたEtymotic ER4なみに、鮮明な中高域を持っているのかもしれません。 

音場と解像度の点に関しても、V6はかなり高い次元で達成できているように考えます。ただし音場の広さだけで見ると、千音さんのTS853プロトタイプや、同じく千音さんで5ドライバーのアップグレードしたWestone 3の方が幾分広いかもしれません。  

手元にとどいてから、ゆっくりと聴く機会がないので、断定はできませんが、1964 EarsさんのV6は、力技で再生するのではなく、とにかく音楽を丁寧に再生する機種という印象を受けました。手元の女性ボーカルを聴くときなどは、心を弾ませるよりも、落ち着かせるのに向いているのかもしれません。 


 2)Etymotic ER4:



千音さんにてリモールド済み シェルの作りは、こちらは千音さんの全てに言えるのですが、とにかく実に綺麗な出来です。クリアの透明感や質感は、1964 Earsさんに負けず劣らず優れています。フィット感も高い次元にあり、遮音性の高さも非常に高い印象を受けます。
 
Halie Lorenのボーカルが、とても鮮明と聴こえてきます。女性ボーカルの情報を全て精確に受け取りたい時には、リモールド済みのER4は最適かと思います。   

例えば、英語の子音の発音などは、口の動きが見えるくらいに精確に再生されているように感じます。とくに、摩擦音の/s/音の再生は、優れているように思います。人によっては、この/s/音が耳に刺さるようで不快と思われるかもしれませんが、英語の【th】に近い日本語の【さ】行と比べて、英語の/s/が、はるかに息の勢いが強いことを考えると、ER4は、とても精確に/s/を再現していると考えます。 

女性ボーカル同様、ピアノの音もとにかく鮮明に聴こえてきます。手元にあるカスタムIEM(リモールドも含めて)の中で、ピアノの再生は、ER4が特に優れている印象を受けます。 

では、個人的にこのリモールド済みのER4が、元々のER4が高音よりであるため、リラックスして音楽に耳を傾けるには少々不向きですが、曲の持つ情報を、とにかく精確に全て受け取りたい時にこそ、この機種は、その力を発揮するように思います。 
 
3)Westone UM3:


千音さんにてBA 4ドライバーにアップグレード済み Halie Lorenのボーカルが、ER4と比べると、後退して、距離をおいた感じで聴こえてきます。おかげで、/s/の音が耳に刺さるようなことは決してありません。

ER4の女性ボーカルが乾いているのに対し、4ドライバーにアップグレードしたUM3のそれは、よりしっとりした質感があり、これはこれで良い気もする反面、もう一つ、女性ボーカルの透明感が不足しているのも事実です。 

女性ボーカル同様、ピアノの音の質感も、乾いたものではなく、潤い感のあるものです。

ただ、ここでも上と同じく、音に透明感が今ひとつ不足しています。 今回のリビューの主役の1964 EarsさんのV6と比べると、V6が圧勝な印象を受けます。V6の方が、高域から低域に全てに伸びやかに再生してくれ、音の広がり感も数段優れています。ドライバー数だけで断定するのは、UM3を4ドライバーにアップグレードしたものでは、V6に太刀打ち出来ないようです。 
 
4)Westone 3:



千音さんにてBA 5ドライバーにアップグレード済み 結論から先にすると、個人的な予想に反して、今回比較したこのBAドライバーの機種の中で、この機種がV6にもっとも張り合っている印象を受けました。 

Halie Lorenのボーカルについて言えば、下がりすぎることもなく、出過ぎることもなく、鮮明なのですが、ER4のように精確すぎて時に不快になることもなく、とにかく心地よく再生してくれます。女性ボーカルの持つ華やかさも上手く出ています。 

ピアノの再生も、上の女性ボーカル同様、そつなくこなしてくれます。 低音のボリュームも、V6に負けず劣らず、けっこうあります。

くわえて、音の広がり感なら、この機種のほうがV6より優れているかもしれません。 

ドライバー数では、V6より1つ少ないですが、5ドライバーにアップグレードしたWestone 3は、かなり健闘している感想を持ちました。この機種とV6のどちらか選ぶとすれば、正直悩む気がします。私にとっては、V6は、低域から高域まですべてに渡って綺麗に再生してくれる優等生的な存在なのに対して、5ドライバーにしたWestone 3は、V6ほど優等生でないのですが、音楽を大らかに楽しく聴かせてくれる、その場を盛り上げてくれる存在でしょうか。 

5)千音 – TS842 




こちらは、低域にダイナミック型のドライバーを1つ、中高域には、Etymotic ER4と同じタイプのBAドライバーを1つ備えた、2ドライバーのハイブリッドIEMになります。 

とは言え、リモールドしたER4と、TS842は似ているようで似ていない存在です。低域にダイナミック型のドライバーを追加しているのですから、当然、その低域の再生能力は、ER4より優れているのですが、同じBAドライバーを使用しているにも関わらず、中高域の再生の仕方に差があります。ER4同様、鮮明にHalie Lorenのボーカルを聴かせてくれるのですが、ER4のような、時として耳に刺さるようなことはありません。

これと同じことが、ピアノの再生にも当てはまります。 

それで、本題のV6との比較ですが、Halie LorenのAutumn Leavesの再生にしぼって比較すると、V6の方が個人的には優れている印象を受けました。TS842には、優れた低域の再生力がある反面、V6には、音の全域に渡る伸びがあるためか音の広がりに断然あり、それに、ボーカルの再生で、潤い感も十分あります。TS842だけ聴いているときは、それはそれで楽しいのですが、V6に交換した際、V6の持つ全体的な音の豊かさにハッとさせられてしまうのが正直な感想です。 

6)Sennheiser IE8:Unique Melody さんにて3ドライバーにアップグレード済み –






こちらは、ダイナミック型のIE8にBAドライバーを2つ追加したハイブリッド機種になります。 シェルの作り:この機種だけ見えていると、そうでもないのですが、1964 Earsさんや千音さんと比べると、正直シェルの作りは見劣りします。

特に気になるのは、シェルの透明度です。クリアを注文したのですが、全体的に白く濁ったシェルになります。 

元になるのが、IE8のせいなのでしょうか、かなりボリューム感のある低音で再生してくれます。低音のボリュームや質感だけなら、本記事の主役であるV6より優れているかもしれません。 

ただし、中高域に目を向け、女性ボーカルの再生力で比較すると、V6の方が遥かに優れています。中域と高域にそれぞれBAドライバーを一機追加した3ウェイとは言え、低域が強すぎるのか、中高域が何歩か後ろに下がった感じで、Halie Lorenのボーカルがボンヤリしてしまい、今ひとつ物足りない印象を受けます。

V6にアップグレードしたIE8が敵わないのは当然としても、千音さんの2ウェイ・2ドライバーのハイブリッドIEMであるTS842と比較しても、3ウェイ・3ドライバーにしたIE8は劣っているように思えます。やはりTS842の中高域に使用しているドライバーの性能が大きく影響しているのでしょうか。 

7)千音 – TS853 試作品:ハイブリッド5ドライバー 


こちらは、この夏(2012年)千音さんから入手したプロトタイプになります。先日、千音さんに聞いたところでは、この年末が過ぎた頃から、正式にTS853が発売になるとのことです。ということもあり、以下の感想は、あくまでもプロタイプの話としてお受取りください。 

低域に関しては、手元のカスタムIEM中、TS853が傑出しています。低音の多い機種は、あまり私の好みではなかったはずのですが、この機種を触れて考え直しました。この機種の低音は、ボリュームがかなりあると同時に透明感があります。TS842も低音が魅力的な機種ですが、このTS853は、その上の上を行く低音ではないでしょうか。

V6も、BA型としては、ボリューム感のある低域を持っていますが、TS853と比べると少々差がある気がします。 

Halie Lorenのボーカルを聴いてみると、上の低域に負けず劣らず、中高域を高い次元で再生してくれます。低音のボリュームに埋没することなどなく、とても鮮明な中高域です。特に女性ジャズボーカルなどを聴いた際の、そのボーカルの質感は、高い解像度があると同時に、神経質になることは有りません。 

V6がHalie Lorenのボーカルを明るく綺麗に再生するのに対して、TS853は少々影のある雰囲気で再生してくれます。この辺りは好みの問題のでしょうが、個人的には、V6、TS853、どちらも好印象を受け、どちらを選ぶかと言えば、正直、その日の気分次第でしょうか。 

ただ、音の広がりというか音場に関しては、V6よりもTS853の方が幾分優れているかもしれません。 
 
8)結び 

今回、手元にある、リモールド、アップグレードも含めた、カスタムIEM7機種を比較してみて、先日発売が始まったばかりの1964 EarsさんのV6は、価格設定に加えて、音質、シェルの作りも考えて、個人的には、かなり満足しています。 

それと同時に、今年(2012年)の夏から冬にかけて入手した、千音さんのTS853とTS842、同じく千音さんに1年ほど前にお願いした、5ドライバーにアップグレードしたWestone 3も、かなり良い選択だったと再確認したしだいです。


数カ月ぶりの投稿になります。今回も、カスタムIEMについてです。


今回は悩みに悩んで、1964 earsさんのV6にしました。一度は、UMさんのハイブリッドカスタム Merlinにかなり傾いていたのですが、注文する土壇場になって、1964 earsさんのV6に決定しました。先月半ばに、1964 earsさんから6ドライバのモデルが出たこともあるのですが、去年、1964 earsさんの方から、新しいモデルを開発中との話を聞いていたこともあり、これも何かの縁だと思い、前回のShure SE425のリモールドから、1年以上ぶりですが、1964 earsさんにお世話になることにしました。




注文に先立ち、シェルの色や、納期の件で、数回、先方とメールで問い合わせをしたのが、この11月の中頃。去年の夏頃にリモールドの件で、1964 earsさんにお世話になった時と比べると、気のせいか少しばかり返信を頂くのに時間がかかった気もしますが、迅速に対応をしていただきました。クリスマスも近く、先方が忙しくなることも考えて、ラッシュオーダー(送料込み95USドル)を利用したこともあり、当方の耳型を発送してから、ほぼ2週間ほどで、V6が日本に到着しました。それが、先週の金曜の深夜なのですが、ここから、日本についてから、手元に来るまでに予想外の4日ほどかかってしまいました。タイミングが悪く、週末だったため、土日と税関がお休みで、消費税の件で時間がかかったようです。


以上が、V6を入手した直後の書き込みです。

実際の音質等は、また後日になるかと思います。

当ブログでお世話になっているT様から、千音さんでのEtymotic ER4Sのリモールドに関するご感想いただきましたので、そちらを本日掲載いたします。今回、記事の掲載をお許し頂き、T様にお礼申し上げます。

いただきましたご感想は次のとおりです。

◆ER-4Sのリモールドに関して







※シェルの外観
本当に素晴らしい出来あがりです。
気泡や濁りのようなものは全く見られず、綺麗に透き通って見える配線やユニットは見事でした。またイヤーフェイスの部分は黒を注文しましたが、全く中身が見えないのではなく、外からもうっすらと中身が見える作りには惹かれるものがあります。

※シェルの作り
カスタムIEM自体が初めてなのですが、ここまでぴったりと出来上がるものかと感心しました。今まではER-4SではComplyのイヤーチップを使用していました。
しかし、Complyをもってしても、快適に聴くことの出来る位置に装着するには少々難儀したのを覚えています。そういった煩わしさを全く感じさせない作りはカスタムIEMならではだな、と思いました。慣れるまでは左右の違いがすぐに分からず、ちょっと装着に手間取りましたが・・・(汗

※遮音性について
元々Complyを使用していましたが、それと比較しても負けず劣らずの遮音性です。
音楽を鳴らした瞬間に、それ以外の音が全く入ってこないのがカナル型の強みですが、前述の装着性ともあいまって快適なリスニング環境を作ってくれます。

※音質について
ケーブルおよび抵抗が変化しているためか、元のER-4Sから変化したように感じます。

中・高音については元のER-4Sがさらに高性能化された印象です。
ハイハットやシンバルなどの音はさらに細かく、ハッキリと聞こえるようになりました。
またピアノなどの音ものびやかに艶っぽくなり、ボーカルは合唱のパートなどで各個人の声が区別可能なほどに聞こえるという感じです。
総じて分解性能は格段にあがり、それに伴って音の定位も向上しました。
個人的に好きな『各楽器と声、その音が分離され、明快に聞こえる』という傾向にぴったりでした。

しかし、良い面ばかりでもありません。

低音に関しては、全く出ていないという事ではありませんが、『出ているけど、中・高音に負けている』という印象です。
曲によってはガラッと印象が変わるので少し驚きました。
もう少しフラットを目指して低音が出るようになれば、私の中では理想に近い音になりそうです。
音の広がりに関しても、ER-4S自体が元々広くなかったので、それをそのまま受け継いでいます。
またボリュームに関しても、十分に取れてはいるんですが、もう少し大きくしたい衝動にかられています。
このあたりはヘッドホンアンプなどの機器と私の財布との相談になりそうです。

※総評として
突然のご依頼から、紆余曲折あり完成したリモールドでしたが、満足度は相当高いものです。
何より、自身が思い立ってから三度目の正直でしたので、手元に届いたときは本当に嬉しかったです。
これから使い込む事によってどんな変化があるのか、楽しみにしながら日々の視聴を重ねていきたいと思います。

 何週間か前に記事を書いた千音さんのTS853について、手短な中間報告になります。


まず、TS853の開発といいいますか、発売時期の方ですが、千音さんによりますと、今のところ、予定が少々延びて、あと2ヶ月ほど後になるとのことでした。どういう状況でそうなったのかは分かりませんが、音質の向上に向けてさらなる変更が加えられるのかもしれません。

次に当方の手元にあるTS853、より正確には、試作機ないしはプロトタイプいうべきなのかもしれませんが、そちらの近況は、なかなかじっくり聴ける時間がないので、なんなのですが、ダイナミック型のドライバーのおかげて、かなり低音が豊かになる反面、BAのおかげで、中高域もしっかりと、しかも綺麗に出てくれています。その低音自体もボリュームは結構有るのですが、ぼんやりしすぎることもなく、かなり輪郭のはっきりしたものになっています。

これまでは、Westone3の5ドライバーにアップグレードしたものをメインにしていたのですがTS853が来てからは、こちらばかり聴いています。

数カ月後に正式にTS853が発売になる際に、どんな具合に音質がなるかは分かりませんが、低域を2つのBAと、1つダイナミック型でハイブリッド化するのは、かなり面白い方向性になるのかもしれません。

A Brief Review of Thousand Sound TS853, Another Choice for a Hybrid Custom IEM: A Successor for the TS842

 

Introduction of Thousand Sound:

In case you have not heard of Thousand Sound (千音) before, a short introduction of them should be in order. 


They are a custom IEM manufacturer based in China.  Perhaps they might not be just as worldly known a manufacturer as are the others in Asia, say, Unique Melody and Rooth.  But their craftsmanship is absolutely no less impressive than those of the other competitors in the world.  So far my friends and I have ordered either re-shelled or custom IEMs several times over the last year, and they have never disappointed us in the least. 


Their product line includes the TS842, a dual driver hybrid custom IEM and the first hybrid custom IEM ever made.  When you google, there should come up some reviews of the TS842.  Although I have not yet tried one myself, the particular model seems to have received great feedbacks among some enthusiasts.  


They also have a unique re-shelling service.  They are one of the few custom IEM manufacturers who re-shell the Etymotic ER4.  



I have brief reviews of the re-shelled Etymotic ER4.  The reviews can be read at my blog here.  (For those who are not familiar with Japanese, my apologies that they are all in Japanese).


Returning to their newest hybrid custom IEM.  Back in the middle of May this year Thousand Sound (hereafter TS) first informed me that they were working on an upper-end hybrid model project.  As mentioned in the above, they already have their preceding hybrid model, TS842, which uses 2 drivers.  Later they told me that the model number for the current project is TS853.


About a month or so later TS emailed me that they were finally ready to take an order, and that the price is around $800 (Cable and shipping are NOT included.)  Then I immediately sent my ear impressions to them even before deciding the choice for the color of the shells.  The package of my ear impressions made it from Japan to TS in China in just 3 days.  Between the times of their receiving my ear impressions and of my receiving the TS853 it took about 5 weeks.



 



Accessories and the Cable: 

The TS853 comes in a plain small black clamshell and a cleaning tool.  Once again, the cable is not included unless you pay extra.  If you are expecting some cosmetically beautiful packaging, you will most likely not be as impressed with them as with other well-known brands.  As for myself, I could not care less about those beautiful packaging as long as the IEM is sufficiently packaged and protected against any damage.  Besides, once I open the packaging, I would just throw it away anyway.

 

Built Quality:

When it comes to the built quality, their acrylic customs are definitely awesome in terms of the look, no bubbles or defects.  





The finish of the shells is the top of the line.  So is the fit.  I have had no trouble whatsoever wearing them over really long periods of time.  Their IEMs are truly comfortable to an extent that I can easily fall asleep with them on my ears.  The seal or isolation is excellent as well.  The seal will stay intact even when I walk around.  Although I have not chosen clear shells myself this time, I have to say that the translucency or clarity of their clear shells are absolutely excellent.  If you choose their clear shells, you will not be regretted by your choice.  The only issue would be the variety of the colors for the shells.  Compared to other major custom IEM manufacturers, TS may not have just as many choices. 


Design – Pretty Unique Configuration of Drivers:

As the model number TS853 indicates, their 2nd hybrid custom IEM uses 5 drivers and, of course, one of them is a dynamic driver. It also comes with triple sound tubes, and a vent for the dynamic driver.  



At first, it appeared that there would be nothing particularly special or surprising about the configuration of the drivers, as there are already a couple of hybrid custom IEMs in the market.  But this appearance has turned out to be quite wrong.  The Thousand Sound TS853 has chosen a pretty unique configuration of the dynamic and balance armature drivers.


My early speculation was that since the TS853 uses 5 drivers as do the other 5 driver hybrid custom IEMs, TS would be using exactly the same configuration of the drivers as, say, Unique Melody Merlin: the Merlin uses 2 balanced armature drivers for each highs and mids, a single dynamic driver for lows.  Boy, I could not be more wrong.  What will make the TS853 the most unique unlike the rest lies exactly at the configuration of the drivers.  For each highs and mids, they use 1 balanced armature driver, which means that out of the 5 drivers, all the rest 3 are left for the lows, and this should be  particularly surprising, probably, to many of the IEM lovers.  For the lows, they have dedicated, not just 1 dynamic driver, but also 2 balanced armature drivers.  In a sense, you could say they have hybrided exclusively the bass range, instead of the whole range. 


As for the dynamic drivers, they have selected a 8mm driver, the same driver with the one used for the TS842.  As for the balanced armature drivers, TS has not given me any specific part number, but told me that they are the same with those used for the JH13.  Specs on the TS853 that I have at the moment are as follows:


Impedance : 15 Ohm

Sensitivity: 118db (1mw)

Crossover: 3 way

 

Sound:

There is something that you should know before reading any further.  Although I have used IEMs for some time, I am just as newbie as it gets in terms of judging sound quality, and my review may not be worth that much to you all.  Having said that, I will just go ahead and write my impression about the sound of the TS853.


I will start with the lows as it could well be considered by many as the most crucial aspect for any hybrid IEM.  Since the TS853 is the first and only hybrid IEM for me, and I have no other hybrid IEM to compare with, the chances are that my review is way off the point, but I would take a wild guess here.  The TS 853 probably does not have as massive or deep bass as you might very well expect from a hybrid IEM.  If your preference is for heavy bass, there will be better choices out there.  Instead, the TS853 delivers powerful yet well-controlled bass.  It seems to me that TS has targeted their newest IEM for those who prefer a more natural sound over a bass heavy sound.  If that is their target, they have done an excellent job indeed.


While bass is “well-controlled” for a hybrid IEM, the TS853 does obviously have plentiful bass when compared with most, if not all, of the BA only IEMs.  However plentiful the bass may be, it hardly sounds bloated to me.  Honestly, I had expected over-powerful, a bit less clear bass from it before listening.  Contrary to the expectation, the bass is not just plentiful, but at the same time pretty detailed and clean.  I have the Sennheiser IE8 upgraded to 3 drivers by Unique Melody.  



In comparison with the upgraded IE8, the TS853 exceeds the IE8 in both the bass amount and quality, which I suspect has been achieved thanks to the unique configuration of the drivers, a single dynamic and dual BA driver(s) for the lows. The dynamic driver delivers the plentiful and rich bass while the 2 BA drivers deliver and maintain the details of the bass. 


Moving on to the mids and treble, I have found it pretty surprising but very pleasing that the two ranges are not as much recessed as I thought beforehand.  In fact, the mids and treble are no less forward than the bass, leading to very clean and detailed presentation.  Compared to my Etymotic ER4, re-shelled by Thousand Sound, the treble of TS853 will probably go behind, but the difference looks slight to me.  



Every time I listened to female jazz vocals or the strings, the TS853 delivers almost as detailed treble and mids as does the re-shelled ER4.


The soundstage of the TS853 deserves special mentioning as well.  Since I am not a user of over-ear headphones, I have no idea if the TS853 can match them in terms of soundstage.  But the TS853 could very well have one of the  widest soundstages for IEMs, if not the only widest. Its soundstage is probably not as precise as can be, but definitely has a large distance between front and back, and particularly between right and left.

 

Conclusion:

As mentioned in the above, Thousand Sound has indeed done a truly great job with the TS853, just as they did before with their previous model, the TS842.  If you want to take off your shoes, sit back, relax, and enjoy music with well-controlled bass, the TS853 is absolutely worth the try.  If you really love heavy bass, it would be wise to look into other models.


There is one other thing that I would like to mention here.  There have already been in the market quite a few hybrid IEMs, including universal ones, which use a single dynamic drivers and one or more balanced armatures.  Among those hybrids out there, I believe that many of you will agree with me on this, the Unique Melody Merlin has been the foremost.  Recently, things seem to have begun to change as some other new models, the Rooth LS-X5, the Aurisonics AS-2, and the AKG K3003 have come into the picture.   


Things would probably be going to change somewhat more radically.  Thousand Sound has released their newest model, the TS853, and shown another venue for hybrid IEMs.  We now have 2 lines of hybrid IEMs.  One is “strong” hybrid IEMs as in UM Merlin with a single dynamic driver dedicated for the lows.  The other is somewhat “mild” hybrid IEMs as in TS853 with a single dynamic driver and some BA driver(s) for the lows.  I must say that I really love the TS853, their newest “mild” hybrid custom IEM.  


Before closing, I would like to remind you all that at the time when I wrote the review, which is August 2012, Thousand Sound has only made 2 pairs of TS853, one of which I have with me.  This is not a sure thing, but I suspect that they might make some adjustment to the TS853 in the future.  If that is the case, the review here may not be of great help when you decide to get one for yourself.  In any case, I hope that my review of the TS853 will be some help to somebody in some way.


I would like to thank Thousand Sound for the TS853, their latest hybrid model. 

 

 

 

 

 

Thousand Sound (千音)が発表したばかりのTS853を簡単にレビューいたします。こちらのモデルは、TS842の上位機種になり、ハイブリッド・カスタムIEMになります。

Thousand Sound (千音)の紹介:

 本題のTS853のレビューに入る前に、Thousand Sound(千音)さんについて、少々紹介します。

Thousand Soundさん(以後、千音さん)は中国に拠点を置くカスタムIEMメーカーです。おそらく千音さんは、アジアに拠点を置く他のカスタムIEMのUMさんやRoothさんと比べると、その知名度は低いように思われます。ですが、千音さんのカスタムIEMを製作技術は、これらの代表的なメーカーよりも劣ることは、まったくないように考えます。個人的な経験になりますが、この1年間で、千音さんに6回ほど注文しましたが、どれもとても満足の行くものでした。

千音さんの製品ラインナップには、デュアルドライバのハイブリッド・カスタムIEM、TS842があり、これは、ハイブリッド・カスタムIEMとしては最古参になるそうです。このTS842についてレビューは、ネットに既にいくつかあり、かなり好意的な評価になっているようです。

さらに千音さんの別のサービスに、IEMのリモールドがあります。特に、千音さんはEtymotic ER4をリモールドしてくれる数少ないメーカーになります。


このEtymotic ER4のリモールドについて、当ブログに記事がいくつかありますので、よろしければ、そちらも御覧ください。

ということで、そろそろ本題、千音さんの最新ハイブリッド・カスタムIEMの話に戻ります。この5月中旬に千音さんから、新しいハイブリッド・モデルの開発に取り組んでいるとの連絡がありました。その後しばらくして、今回のモデルの番号は、TS853であることも分かりました。

それから、約1ヶ月たった頃に千音さんから、注文を取る準備ができ、価格はおよそ$ 800(ケーブルと送料は含まず)との連絡がありました。その知らせを聞き、すぐに先方に当方の耳型を発送、わずか3日で日本から中国の千音さんに到着しました。それから待つこと約5週間で、TS853が当方に到着したのが、この8月でした。



パッケージングおよびケーブル:

TS853には、飾り気の全くない黒いクラムシェル型のケースとクリーニングツールだけが付属しています。ケーブルの方は含まれていません。こちらは別途料金になります。


UMさんや他のメーカーと比べると、千音さんのケースは、少々物足りない気が正直しますが、発送の際の梱包は十分にされているので、これはこれで良しという感じです。(ただ、せっかくの買い物なので、音質に関わらなくても、できるだけ綺麗なパッケージングの方が嬉しいのですが。)

シェルの品質:

千音さんのカスタムIEMのシェルを作る技術は、かなり優れているように思います。気泡など、目に見えるような欠点はとくに有りません。好みにより評価が別れるかもしれませんが、シェルの光沢は非常に綺麗です。次にシェルのフィットの方ですが、こちらも良好です。今までに何度か千音さんに注文していますが、フィットに関するトラブルは有りません。とくにタイトすぎることも、緩すぎることも有りません。長い期間にわたって耳につけても不快感はとくに無く、着けたままで、寝込んでしまうこともあるくらいです。




唯一の難点は、他の主要なカスタムIEMメーカーと比較すると、シェルの色の選択肢があまり多くないことです。今後こちらの点がこ改善されることを期待しています。

設計 - かなりユニークなドライバー構成:

モデル番号のTS853からも分かるのですが、千音さんの今回のモデルは、ドライバーを5個使用するハイブリッドで、もちろん、そのうちの1つは、ダイナミック型になります。また、ドライバーとカナルを接続する管は3つあり、さらに、ダイナミック型ドライバーとつながるベント用の管が1つあります。


 今回のモデルが、5ドライバーのハイブリッドになると千音さんから最初に話があったときは、すでに他のメーカーから出ている5ドライバーのハイブリッドと同じようなドライバーの構成になると思ったのですが、最終的なものは、私の安直な予測とは全く異なっていました。今回のTS853で、とくにユニークなのが、このドライバーの構成そのものと言えるかもしれません。

すでに市場にでてきる5ドライバーのハイブリッド・カスタムIEMが、内4つのドライバー(BA型)を中高域用に、そして残りの1つになるダイナミック型ドライバーを低域用にしています。これに対して、TS853は別の手法に出ています。つまり、高域と中域のそれぞれに、BAを1つ、合計2個のドライバーを充て、残りの3つのドライバー全てを低域に充てます。要は、ダイナミック型1つに加えて、BA型も2つ低域に使用するわけです。多少乱暴な言い方かもしれませんが、音域全体に渡りハイブリッド化するのではなく、低域だけを重点的にハイブリッド化する手法を、千音さんは採用したことになります。そして、個人的な感想では、この手法が功を奏しているように思います。

そのダイナック・ドライバーは、千音さんで開発した8mmのドライバーになり、TS842に使用されるものと同じとのことです。そしてBA方式のドライバーに関しては、特定のパーツ番号等は不明なのですが、千音さんによると、JH13と同じものを使用しているとのことでした。

現時点で当方が知り得たTS853のスペックは以下のとおりです。

インピーダンス:15Ω
感度:118db(1MW)
クロスオーバー:3 way

音質:

これより先をお読み頂く前に、ご了承いただきたいこと2つほどあります。

当方、そんな優れた聴覚を持っているわけではなく、したがいまして、以下の音質についてのレビューは、個人的なものであり、聴覚の優れたユーザーがお聴きになると、まったく異なった印象になる可能性がありますので、その点お許し下さい。

加えまして、当方が所有するハイブリッドIEMは、今回のTS853のみで、他に比較するハイブリッドIEMを持っておりません。したがいまして、かなり偏ったレビューになる可能性もあります。

以上2点をご理解の上、以下のレビューをお読みください。

ハイブリッドIEMということで、かなりボリュームと迫力のある低音を望んだ場合、TS853は、少々期待外れかもしれませんし、そのような低音をお望みの場合は、もっと良い選択肢が他にあるかと思います。その代わりに、TS853の低音は、BAドライバーだけのIEMと比較すると、かなり多めなのですが、ただ低音がガンガン多く出ているのではなく、とても制御の効いた低音を奏でてくれます。

正直なところ、私自身は、実際にTS853を聴くまでは、とにかく強力な低音が出るのだろうと予測していたのですが、良い意味で予想を裏切られた感じです。上に重複するのですが、TS853の低音は、とても豊かであると同時に、かなり詳細にわたり繊細に再生してくれます。手元に、UMさんで3ドライバーにアップグレードしてもらったSennheiserのIE8があるのですが、これと比較した場合、


TS853の方が、低音の豊かさと繊細さの両面で優れている印象を受けました。これは個人的な憶測なのですが、TS853では、低音にダイナミック型だけでなく、BA型のドライバーを割り当てた成果だと考えます。ダイナミック・ドライバーで豊かな低音を確保し、2 つあるBAドライバーが低音の繊細さを確保しているのかもしれません。

ここからは中音域と高音域に話を移します。上でTS853の制御の効いた、しかも豊かな低音のことを書いたのですが、この機種では、中高域も低域に負けず、かなり鮮明に聴こえてきます。少なくとも豊かな低域のせいで、中高域が、一歩後退して聴こえるような感じは、私にはありません。実際のところ、中音域と高音域も、とても繊細な音質で、とくに女性のジャズ・ボーカルなど聴いた際は、かなり良い感じで再生してくれます。手元に千音さんでリモールドしてもらったEtymotic ER4があるのですが、これと比べると、


確かに、TS853は、中高域で、繊細さというか精確さに関して劣る印象を受けますが、ただその違いは、私には、かなり僅かなものである気がします。

次に、TS853の音場ですが、これはかなり高い次元にあるという印象を受けました。当方、オーバーイヤーのヘッドホンのユーザーではないため、その種のモデルと比較することはできないのですが、TS853は、IEMとして、かなり広い音場を確保できているように思います。前後方向の広がりもあるのですが、とくに左右方向の広がりがあるようです。

最後に:

上記のように、既に市場に出ているTS842と同様に、今回、千音さんが発表したでTS853も、かなり良い出来のハイブリッドIEMだと思われます。確かに、とにかく低音のガンガン響くモデルを好きなユーザーには、あまり向いていないのですが、中高域を綺麗に再生し、低域を、適度のボリュームを保ちながら、且つ繊細に奏でてくれるのがご希望の場合、今回のTS853は、かなり面白い選択肢ではないでしょうか。多少大げさな言い方をすれば、ソファーにゆったりと座り、リラックスして、好きな曲を楽しんで聴くのに、TS853は非常に向いているように私は考えます。

TS853の音質そのものでないことで、個人的な考えを少々書かせて頂きます。最近、市場にハイブリッドIEMが、カスタム、ユニバーサルの双方でかなり増えてきているようですが、そのハイブリッドの方式は、製作者により異なり、大きく分けて、次の2つがあるように思います。1つ目には、おそらくこちらが主流になるのですが、UMさんやRoothさんが採用しているタイプのハイブリッド、つまり、低域にダイナミック・ドライバーだけを充て、中高域にBAドライバーを充てる方式があります。こちらの主流派をストロング・ハイブリッド方式とするならば、2つ目で、且つ少数派は、今回の千音さんがTS853で採用した、マイルド・ハイブリッド方式になるように考えます。このマイルド・ハイブリッド方式では、中高域は、BAドライバーだけなのですが、低音には、ダイナミック型とBA型のドライバーの双方を充てる形になります。私の誤解でなければ、今回のTS853により、千音さんは、ハイブリッドIEMの新しい方向性と可能性を示したのかもしれません。

 

最後になりますが、今回当方が入手したTS853自体について少々書かせ頂きます。千音さんが制作したTS853は、今(2012年8月)の時点では2つだけらしく、その1つを当方に提供していただきました。これから、このTS853が市場に出回ることになるかと思うのですが、もしかすると、今回私が入手したモデルは、初期型ということで、これから出回るものとは音質が異なる可能性があるのかもしれません。TS853の購入をお考えの場合は、上記の点をご留意いただければと思っております。

 

以上、千音さんおTS853のレビューでした。

 もう2週間ほど前になりますが、千音/Thousand Sound(s)さんのTS842の感想を、当ブログでお世話になっているY様からいただきました。もっと早く掲載したかったのですが、諸事情で今日まで遅くなってしまい、Y様には、心よりお詫び申し上げます。

ということで、早速ですが、Y様のご感想を以下の通りです。

=======================================




早速TS842の感想を書きます。
私は、趣味でベースを弾いているので、低音の量は多いほうが好きです。なので少しほかの方と感じ方が違うかも知れません。
再生環境 ウォークマンA865
 
同時期に注文したrooth のls8と同じくらいクリアなシェルで満足です。気持ち千音さんの方が、大きいかも知れません。でも付け心地は千音さんの方がよいです。
遮音性は一箇所穴が開いているため劣ると思ったのですけれども、ほとんどls8と変わらないです。
 
聞いた感じ、低音>高音>中音 に感じました。
 
最初は中高音がおとなしいように感じました。しばらく鳴らしこんだら、だんだんよい意味で元気な音になってきました。
 
音場は私の所持している10proよりは狭いです。標準的な感じがします。
 
低音はダイナミック型あって、沈み込みが強いです。同時に量があるのに抑制されています。
ウッドベースより、エレキベースの方が会う感じがします。
 
音の分離はなかなかです。打ち込みに合うと思いました。
個人的にファンクを聞くときは歯切れのよさがあって、よいと思いました。2ドライバーのおかげか音がすっきりしています。
濃い音が好きな方には向いていないかも知れません。
 
イコライザーで低音最大にハイをちょっと上げて聞くと、もともとの低域の良さがより増幅してかなりの音圧です。洋楽のkronを聞いたときに鳥肌が立つくらい気持ちが良かったです。
 
ls8 は逆に濃い音で、雰囲気が正反対な気がしました。ls8の方が10proの特性に似ているかもしれません。
 
ls8はオールマイティーに、TS842はファンクや、テクノ、ミクスチャーなどに使おうかと思ってます。




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